令和6年度司法書士試験に独学で合格したので、その記録を付けておくのと、これから司法書士試験を受けようとする人の参考になればという思いで私の実践した勉強法を書いておく。
司法書士試験とは
合格率4~5%程度の最難関資格の一つに数えられる試験。少し調べればその難しさは分かることなので、ここでは省略。
簡単な記録
- 何回目の受験で合格したか→2回目
- 何日くらい勉強したか→1年3か月(1年目5か月、2年目8か月)
- 何時間くらい勉強したか→約1500時間。後述するが、隙間時間の勉強を含めるともう少し増えると思う
- 以前から法律知識は持っていたか→ジャグラーがそんなものを持っているわけがない
以下に、1回目の受験時から、2回目の合格までに実際に勉強した内容を紹介する。
1年目
私が司法書士試験を受けようと決意したのは、2023年の2月1日。その日のうちにオートマシステム民法1を購入し、勉強を開始した。
オートマシステムは司法書士試験を独学で勉強する人にとっては定番の教材。とにかく読みやすく、覚えやすく、理解もしやすい。テキストはこれを選んで正解だった。ちなみにAmazonのアフィリンクを貼っているが、そこで買うより早稲田経営出版のサイトで買った方が安く買えるので注意。
で、購入した民法1を読んでいく。注意点としては、最初から隅から隅まで覚えていこう!とは思わずに読んでいくこと。司法書士試験では膨大な量の知識が必要となるので、最初から全てを覚えていこうとすると、確実にどこかでつまづくか、やる気をなくす。最初は、「自分はこれからこんなことを勉強していくんだな」と読み物を読んでいくようにテキストを読めばいい。もちろん読む以上は覚えていくつもりではあるし、テキストに載っている過去問も全て解いていくのだが、「絶対に全部覚えよう!」みたいな気合いはいらないし、覚えたことを翌日に忘れてもいい。(というか読んだ知識を忘れるなんて当たり前のこと)
あと、民法1を読み始めてから読み終わるまでの時間を計測しておく。人によって読解速度はそれぞれだが、私の学習法では次に「学習計画」を立てるので、テキストを一冊読む時間がわからないと困るのだ。
私の場合、1年目は1日6時間くらいは勉強時間を確保できた。そして、オートマ民法1を読み終えるのに3日と少しかかり、テキスト一冊を読み終えるのに必要な時間は約20時間と判明した。
学習計画を立てる
司法書士試験はとにかく学習量が膨大なので、完璧に、とまでは言わないが、ある程度しっかりと学習計画を立てておく必要がある。
民法1を読み終えたら、読み終えるのにかかった時間を11倍する。オートマシステムは全部で11巻あるからだ。(記述式は除く)私の場合は20時間x11で220時間。これがオートマシステムを全部読み終えるのにかかる時間となる。厳密には民法1より供託法・司法書士法のテキストはかなり薄かったりするので、全体的にもう少し短い時間で読み終わるのではないかと思うかもしれないが、予備の時間を確保したと思えばいいので、単純に11倍する。
で、そのまま民法2、民法3と読んでいく。民法3まで読み終わったら、過去問に移る。
1年目に使用した過去問はオートマ過去問。やはり早稲田経営出版のサイトの方が安く買えるので注意。
オートマ過去問は、膨大な量の司法書士試験の過去問の中から、合格に必要であろう問題をプロがチョイス。必要最低限の問題数で、最大の知識が得られるように作られている。解説もわかりやすい。
当然これも、1冊終わらせるのにかかる時間を計測しておく。私の場合はオートマ過去問民法1を終わらせるのに約30時間かかった。そしてそれを9倍。もうお分かりだろう、オートマ過去問は全部で9冊あるからだ。私の場合は30×9で270時間。そして全てのテキストを読み終わり、全ての過去問を解くのに何日くらいかかるのか、計画を立てる。
1年目は5か月間しか勉強期間がなかったので、そもそも試験までに全ての学習を終えられるかどうかを正確に見極めなければならなかった。なので各テキスト、各過去問をいつまでに終わらせなければならないのか、という期日を設定し、それを忠実に守ることを決意した。ただ他に、記述式の学習にどれくらいの時間がかかるのか全く不明だったので、ザックリと200時間もあれば大丈夫だろう、模試も受けるつもりだったので、それも80時間くらいだろう、と大した根拠もないが、時間を設定。計画通りに進めば、6月半ばに全て完了する。記述の勉強の合間と、残った時間を使えば過去問の2週目も終わるだろう、とあてをつけて日々の学習が始まった。
毎日勉強すること。絶対に学習計画を守ること。計画から遅れたら通常より多めに勉強すること。これは徹底した。
流れは「民法のテキストを読む→民法の過去問を解く。不動産登記法のテキストを読む→不動産登記法の過去問を解く」これの繰り返し。「民法総則を読み終わったら民法総則の過去問」だと細かすぎるし、民法〜憲法のテキストを全部読む→民法過去問〜憲法過去問を解く、だとテキストで仕入れた知識が抜けすぎて過去問を解く意味が薄れるだろう、と思ったので、各法律ごとにテキスト→過去問、と繰り返した。
工夫した点
テキストを読んで過去問を解く、というのは司法書士試験に限らず、どんな試験でも王道だろう。独学者の大半が同じことをしているはずだ。なのでそれについて詳しく書いても仕方がないので、私の勉強法の中で、他の人と違うであろう部分を紹介する。
1.テキストに何も書き込まないし、ラインマーカーなどで線も引かない、テキストをまとめることもしない、付箋も貼らない。
大事な部分に線を引いたり、テキストに何か大切なことを書き込んだりする人は多いと思う。ただ個人的にはそれに意味があるのかなぁ、と思ってしまう。大事な部分に線を引いたとしても、覚えたことにはならない。だいたい、テキストに書いてることの大部分が大事な部分なのだ。テキスト全てにラインマーカーで線を引くわけにもいくまい。また、テキストに書いてることに付随する知識を書き込むのも有用な気もするが、そもそもテキストは何回も何回も読むものではない。1週目でどんなことを勉強するのか把握して、過去問で知識を頭に入れたらそれを確認する意味で2週目を読む。これで十分。テキストに何かを書き込んだとしても、それを読むことはそんなに多くない。だったら書き込む時間を使って過去問の1つでも解いたほうが有効な時間の使い方だろう、と個人的には思うのだ。
またテキストをノートなどにまとめるということも1年目はしなかった。ノートにまとめるのはとにかく時間がかかる作業なので、時間のなかった1年目はとてもできる状況ではなかったし、実際にしなくても好成績は残せたので、必ず必要な作業ではないと思う。(2年目は時間が余っていたのでやった、後述)
2.メモはパソコンにする
大事な過去問はメモをして定期的に復習しておきたい。しかし、司法書士試験は問題文が長いものも多い。例えば以下の問題を手書きでメモしておくとしよう。
Bが売買によりAから甲不動産の所有権を取得したが、甲不動産について、AからBへの所有権の移転の登記が未了の間にCを仮処分の債権者とする所有権の移転の登記請求権を保全する処分禁止の登記がされた後、Bの債権者であるDの代位によりAからBへの所有権の移転の登記がされた場合において、Cが、AからCへの所有権の移転の登記の申請と同時に、単独で当該処分禁止の登記に後れるBのための登記の抹消を申請するときは、その旨のB及びDに対しあらかじめ通知したことを証する情報を提供しなければならない。
令和6年午後25問ア
私が今、手書きで書いてみたところ、4分15秒かかった。かなり雑な字で書いてこれだけの時間がかかる。手も疲れる。
そこで私は気になった問題、大切な問題はパソコンにメモしておくことにした。パソコンなら上記の問題をメモするのに1分45秒で完了する。手書きの半分以下の時間ですむ。しかも調べたいことがあったら検索すればすぐに見つかる。手書きだと目当ての問題を見つけるのも大変そうだ。
ちなみにスマホで写真を撮っておく、という手も考えたのだが、写真だと文字が読みづらいし、調べたいことがあっても検索できないので、その案は却下した。
オートマ過去問は全部で7191問の問題が載っている。今現在は、もう少し問題も増えていることだろう。模試の問題も追加すると、肢別で8000問くらいは問題に触れることになる。私のパソコンにはそれの約半分、4000問近くがメモされている。手書きではとても無理だっただろう。パソコンが使える人は、パソコンでメモをした方が時間もかからないし、労力もかからない、我ながら良い方法だったと思う。
3.隙間時間を使う
人が1日に使える時間は限られている。特に社会人なら仕事もあるし、子供がいれば子育てもある。かくいう私もその両方があり、1日に確保できる勉強時間は限られていた。そこでちょっと手の空いた時間を勉強時間に充てて、少ない勉強時間をカバーすることにした。
シャワーを浴びているときなど手は塞がっているが頭は空いているときには、単純な暗記モノを思い出すようにしていた。司法書士試験にはリストを暗記するものがいくつかある。付記登記するものは何か、定款の絶対的記載事項は何か、執行抗告できるものは何があるか、簡裁訴訟の特例は何があるか、など、頭の中だけで羅列できるものは、他の事をしながらでも思い出すことができるし、思い出せなかったものはすぐに調べて覚え直すようにしていた。またちょっと手の空いたときには上記のメモを読み直したり、過去問を1ページだけでも解いてみたり、とにかく空いた時間を活用した。これは参考にならないだろうが、お風呂から子供を出して体を拭くときに「付記登記の歌」を歌いながら拭いていた(笑)これのおかげで本試験の主登記付記登記に関する問題(令和6年午後第12問)は瞬殺できたので、何事もやってみるものだ。
4.過去問を解いたときの正誤をパソコンにメモしておく
過去問は最終的に2周するつもりだったが、特に苦手な分野は3週でも4周でもしておきたい。そこで過去問を解いたときの正答率を出してメモしておくことにした。正答率があまりに低いものは重点的に学習しようとしたのと、記録をつけておくことで自分の自信につながるかな、と思ってやった作業。結果的に過去問は2周しかできなかったが、自分が勉強してきた記録があると自信にはなったし、データを見ているだけでも面白い。
経過とキツかったこと
1年目はそんな感じで日々が過ぎていった。毎日テキストを読む→過去問を解く、の繰り返し。しかし途中でキツイな、と感じるときもあった。民法は面白く、不動産登記法も個人的には面白かったし、不動産に興味もあるので、スラスラ進めた。しかし会社法、商業登記法は私にとって山場だった。まず、面白くない。(初見時の感想、今は結構好き)ハンコをなくしていこうという社会になりつつある中、印鑑証明書についてひたすら覚えなければならない。なんで今時株券について勉強せなあかんねん。とも強く思った。そのあたりで計画から少し遅れ初めてしまったが、民事訴訟法は結構面白く、供託法、司法書士法は内容が簡単、刑法も簡単、憲法は面白くはないけど難しくもない、みたいな感じで4月後半に一通りの学習を終えることができた。学習開始から約3ヶ月。先にも書いたが、計画通りだった。
記述式の勉強
少し戻るが、3月後半にTACのCHECK模試を受けた。不動産登記法の過去問を終え、会社法のテキストを読んでいた頃だ。
過去問を全て終えていた民法、不動産登記法も平均点にすら届いていない。そして商業登記法の記述式試験は何を書いていいか全くわからず、0点(笑)
さて司法書士試験の記述式だが、この初めて受けたTAC模試の解説講義がかなり記述式の解説を詳しくしてくれて、「この講師のやり方をパクればいいか」と思ったのでそのままやり方をコピーすることにした。試験の解き方に限らずジャグリングでもそうだし、仕事でも何でもそうだと思うが、上達するには上手い人の動きを真似するのが一番だ。初心者が下手にオリジナリティを出そうとしても、上達が遅くなるだけ。オリジナリティなんて上達してからいくらでも出せるので、初心者のうちは上手い人の動きをパクること。これが上達のコツだ。(ジャグリングでも、「好きなジャグラーの動きを真似するといいよ」と教えている)結果を見ても、1年目も2年目も記述式の点数は高かったので、この判断は正解だった。TACの模試は1年で4回しかないが、解説講義を4回も受ければ、やり方は大体分かる。
ということで解き方はTAC講師(お礼がわりのyoutubeリンクを貼っておく)のやり方をパクることにして、あとは練習。テキストはオートマ記述式を使った。試験に出てきそうな論点は、だいたいオートマ記述式に載っているのではないだろうか。不動産登記法、商業登記法を1日1,2問ずつ解いていった。そして余った時間で過去問の2周目もこなしていく。
模試
1年目も2年目も、TACと伊藤塾の模試を受けた。結論から言うと、模試は受けて大正解だったし、これから独学で司法書士試験合格を目指す人も、模試は受けたほうがいいと思う。理由は主に以下の3つ。
1.記述式の解き方が身に付くから
独学の辛い点が、記述式問題の解き方が独学では非常に身につけづらいと言うところだ。オートマ記述のテキストで主な論点、どんな問題が出てくるのかは覚えることができるが、実際に問題を前にしたときにどう解くのか、と言うのがなかなか理解しづらい。その点、先にも書いたが、TAC模試の解説講義は記述式問題の解説が非常に丁寧で理解しやすく、また講師の方が自分の解き方をそのまま教えてくれるので、それをパクればいいだけと言うありがたさ。別にTACの回し者ではないが、模試の解説講義がなかったらもっと記述式問題に苦戦していたと思う。
2.記述式の採点基準が見えてくるから
独学のもうひとつ辛い点が、記述式の採点基準が分からないことだ。司法書士試験の記述式問題は減点方式とされていて、模範解答から外れた部分の点数が引かれて答案の点数が決定される。しかし独学だと、「どこをどう間違えたらどのくらい点数が引かれるのか」が全く分からない。その点模試を受ければ、答案を添削してくれるので、「ここを間違えたらデカい減点なんだな」「ここを間違えてもそんなにダメージはないか」というのが分かってくる。もう少し具体的に書くと、不動産登記法記述では申請する登記の順番を間違えたり、申請すべき登記を申請しなかった、あるいは申請しなくていい登記を申請した、という、いわゆる「枠ズレ」をしてしまうと、どデカい減点をくらう。一方、添付書面を1つ添付し忘れた、申請人の書き方を少し間違えてしまった、くらいだと大きな減点にはならない。なので記述式問題では、細かい添付書面に気を配るよりは、とにかく大枠を外さないことが大事だということになる。いくら添付書面が完璧でも、申請する登記を1つ飛ばしてしまえば点数が消し飛んでしまう。模試を受けておけば、そういった採点基準の感覚を身につけておけるのがありがたい。
3.模試の問題が本試験に出るから
司法書士試験は、結構、過去問から同じ問題、似た問題が出てくる。よって過去問をしっかり覚える、あるいは理解することで、出てくる問題の7,8割程度はカバーできる。(過去問を全て勉強するのが大変だけど)
しかし、過去問で一度も出たことがない問題というのも試験で出てくる。そういった「未出の知識」を与えてくれるのが、模試だ。その道のプロが、「今年はこういった問題が出そうだな」と予想し、事前に知識を授けてくれるのだから、受験生としては受けておいて損はない。(お金はかかるけど)
実際に、令和6年度の本試験では「特別寄与料」という過去問で問われたことがない問題が問われたが、模試に特別寄与料に関する問題が出ていたため正解することができたし、記述式問題の「株式交付」も模試でしっかり問われていた。
どの会社の模試を受けるか?に関しては、適当に2社くらい受ければいいのではないかと思う。司法書士試験の模試はTAC、伊藤塾の他にもLECや辰巳が出しているが、全部の模試を受けるとお金も時間もかかり過ぎる気がするのだ。もちろん受けたければ受ければいいのだが、被るテーマが結構あると思う。実際にTACと伊藤塾と2つ受けたが、「所有者不明土地管理者」「社債管理補助者」「株式交付」「第三者のためにする契約」というテーマがどちらの模試でも出てきたし、プロの予想というのはある程度似通ってくるものなのだろう。
1年目の結果
そんなこんなで過去問の2週目も終わり、模試も2週し、オートマ記述テキストも終わり、体感として「7,8割合格できるだろう」という気持ちで令和5年本試験に望んだ。勉強期間5ヶ月、勉強時間900時間。これで合格したら日本最速記録じゃないか?と思いながら試験を受けたが、惜しくも敗れた。
合格点は211点で、私の点が205.5点。択一をあと2問正解していれば合格だったが、択一の商業登記法の点数が低すぎた。一方で記述式の点数がかなりの高得点だったのは自信になった。司法書士試験は上位600人程度が合格する試験なので、240位というのは合格者の中でも高い点数の部類に入る。1年目は残念ながら総合点で届かなかったが、来年は絶対に受かってやるし、受かるだろう、という思いで2年目に臨めた。
2年目
司法書士試験は毎年7月頭にあり、筆記試験の合格発表は10月にある。1年目の試験が終わってから合格発表までの3か月間は全く勉強せず、11月から勉強を再開。11月から7月頭までの8か月。再び計画を立てるところから始めた。テキストはそのままオートマシステムを使うことにしたが、より細かい過去問の知識が欲しかったので、テキストは新たに「パーフェクト過去問集」を書い直した。
オートマ過去問、パーフェクト過去問ともに使った感想を述べておく。
オートマ過去問
問題が厳選された肢別問題集。2023年度版で全7191問。
メリット
プロが問題を厳選してくれているので、無駄がない。解説がわかりやすい。
デメリット
全ての過去問知識を得られるわけではない。重要度が低いところはカットされているため、過去問知識にわずかだが穴が開く。
パーフェクト過去問集
最新の過去問から昭和の問題まで全ての過去問を網羅した問題集。2024年度版で全2294問。(5肢択一なので、肢別でみるとx5の11470問)
メリット
(ほぼ)全ての過去問が載っている。
その割にスリムというか、薄くまとめられている。辞書みたいな分厚さを想像していたので、コンパクトさに驚いた。
デメリット
解説がちょっと不親切。(オートマ過去問と比べて)
平成初期+昭和の問題には解説がない。
会社法、商業登記法の過去問だけパーフェクトじゃない。会社法が施行されたのが平成17年(?)なのだが、それ以降の過去問しか載っていない。それ以前の旧商法時代の過去問はバッサリカットされている。(オートマ過去問には入っているのに)
なので、もし私がもう一度司法書士試験を受けようと思ったら、使う過去問は「パーフェクト過去問集+会社法&商業登記法だけオートマ過去問」という形になると思う。(もしくは他の会社が出している過去問集でいいのがあれば)
2年目の学習計画
1年目の試験から合格発表までの間に第二子が生まれ、常に子供2人と妻が家にいる環境となったため、1日に確保できる勉強時間は約3時間と減ってしまったが、期間は8か月あるので3時間x30日x8か月=720時間の勉強時間が取れる。それをもとに学習計画を立てた。
パーフェクト過去問集を最初の模試がある3月終わり頃までに1周したい。パーフェクト過去問集は全部で4500ページほどある。11月から3月までの5か月で1周するには、4500÷(5×30)=30で、1日30ページ進めればいい。余った時間でオートマテキストをノートにまとめながらのんびり読むことにして、2年目の勉強がスタートした。
1年目と同じく、気になる問題はパソコンにメモしておいたり、過去問の正答率を書き出しておいた。
計画どおり、3月には1周目を終えた。上の画像にあるとおり、1周目の正答率が90%を超えている。この時点で、「あともう1周してより知識を完璧に身につければ、今年の合格は間違いない」と確信できるくらいの自信はついた。
2年目の模試
1年目と同じくTACと伊藤塾の模試を受けた。1年目は解説講義もしっかり見たが、2年目になり知識もかなり増えてくると、解答を見れば自分が何をどう間違えたのかが分かるようになるので、2年目は解説講義はほとんど見なかった。あと、自分の実力が明らかに上がったことを感じた。正答率もそうだが、問題を解く時間が明らかに早くなっていた。
択一午前は、1年目は1時間30分くらいかけて解いていたが、2年目は1時間程度で解けるように。択一午後も、1年目はフルスピードで頑張って1時間で解いていたが、2年目は軽く流すくらいでも45~50分くらいで解けるようになった。孤独な独学者にとっては自分の成長を実感できることは嬉しいことだ。
以下にTAC模試の結果を貼り付けておく。
模試でこれくらいの点数が安定して取れていれば、ほぼ確実に本番でも合格点が取れると思う。もちろん、模試の結果に浮かれずに、毎日勉強することが前提ではあるが。
4,5,6月は上記の模試と、パーフェクト過去問集記述式、パーフェクト過去問の2周目を進め、本番の7月7日を迎えた。
2年目の結果
合格点が267点、私の点が288点。総合順位は掲載されていないが、法務省のウェブサイトで確認すると200位くらいだったので、合格者の中でも上位の方だった。不動産登記記述がもう少し点数が高いと思っていたんだけどなぁ。1年目に点数が低かった商業登記法の択一は満点、商業登記記述も8割を超える高得点で、勉強した甲斐があった。
他の受験生がやっていそうだが私はやらなかったこと
1年目、2年目を通して約1500時間くらいの勉強時間で合格することができた(通常、司法書士試験合格には3000時間の勉強が必要だと言われている)のは、先に書いた工夫に加え、無駄な作業をバッサリカットしたというのも大きいと思う。結局私が主にやったのは、テキストを読む、過去問を解く、記述式のテキストをやる、記述式の過去問を解く、ということだけ。以下に書くことは、もちろんやったほうがいいのかもしれないが、合格に必ずしも必要なことではないと思う。
1.六法を買う、条文を(そのまま)覚える
最近は六法を買う人は少なくなっているらしいが、私も買わなかった。大事な条文はテキストに載っているし、載っていなくてもe-gov法令検索で調べればすぐに出てくる。紙の辞書を引くより早い。
人に「法律の勉強をしている」というと、「六法全書をを覚えるの?」と聞かれるが、条文の丸暗記なんてする必要はない。大事なのは、こういう法律があって、こういう結論になる、という流れを理解すること。そもそも会社法のように丸暗記なんて不可能なものも多い。
2.推論問題は軽く流す
司法書士試験の問題には、推論問題(学説問題)というジャンルがある。『ある法律の根拠にはA説とB説があり、A説への批判として正しいものは次のうちどれか』みたいな問題である。
私は推論問題は過去問の1周目だけ解いて、あとは一切触れなかった。理由としては、まずA説、B説のどちらが実際に採用されているのか分からなくなったら嫌だな、と思ったこと。それよりは、実際に採用されているのはA説なのね、おしまい。で終わりにしておいた方が覚え方としては簡単だ。
次に、推論問題は現在の司法書士試験ではほとんど出ない、という理由もある。最後に出たのは平成30年くらいかな?(曖昧な記憶)確か令和に入ってからは1題も出ていないんじゃないか。推論問題の過去問はそれなりの量があるが、繰り返し問われている論点はあまりなく、単発の論点が目立つ。だったら推論問題の過去問を必死に勉強する意味はあまりないかな、と思った。
最後に、一切勉強しなくても、国語の問題として解けばそれなりに解けるから。上の方に貼ってあるパーフェクト過去問集の正答率のスクショだが、よーく見ると憲法の正答率が一番低い。憲法は推論問題が一番多いせいで、正答率を下げてしまっている。しかし、正答率が7割を切る分野はほとんどなかった。推論問題は事前の知識がなくても7割は解けるのだ、と考えると、出るか出ないか分からない問題のために、あまり時間を使いたくはなかった。
実際に令和5年、令和6年ともに推論問題は出なかったし、模試で出てきた推論問題は正解できたので、推論問題にあまり力を入れない、という戦略は私としては正解だった。今後の司法書士試験で絶対に推論問題が出ないか?と言われると、そんなことはないと思うが、推論問題を必死に勉強するくらいなら、他にもっと大事な部分はたくさんあると思う。
3.記述式の雛形暗記
模試の解説に「雛形力が大事」みたいなことが書いてあったので、なんだそりゃ、と思ったが、記述式の登記申請書の雛形集の暗記のことらしい。要は記述式の登記申請書の書き方や添付書面などの「雛形」をそのまま暗記しよう、ということだ。
が、私はやらなかった。そもそも、登記申請書についてはオートマテキストに大体書いてあるので、それを覚えればいいし、記述のテキストや過去問で実際に使って知識をより定着させていく、という勉強法で十分だった。「雛形集」も買わずに済むし。ただでさえ多いテキストを、さらに増やしたくはない。
全然関係ないが、ついでに参考書等でお金をいくら使ったか書いておく。
オートマテキスト1~11+記述2冊→3万くらい
オートマ過去問1~9→2万くらい
パーフェクト過去問1~10+記述2冊→3万くらい
模試2社x2年分→5万くらい
合計で約13万円ということになる。予備校に通うよりは安いが、それでも結構かかってるな…。特に模試。
4.記述式問題の練習では「丁寧な」解答を作らない
記述式試験は、本番でも1問を1時間くらいかけて解くくらいのボリュームがある。問題文を読んで、どのような登記が必要なのかを判断し、申請書を作る。それに加えて添付する書面、登録免許税なども解答しなければならない。なので過去問を1問解くのにも1時間かかる、と思われがちだが、実はそうでもない。練習段階では、記述式試験の「解答を作る」作業は必要ないのだ。
例えば不動産登記法で「所有権移転」の登記を申請する場面があるとする。本番では、次のように解答する。
登記の目的 | 所有権移転 |
登記原因及びその日付 | 令和6年7月7日売買 |
上記以外の申請事項 | 権利者 A 義務者 B |
添付書面 | ア、イ、エ、オ |
登録免許税 | 金20万円 |
*左欄は解答用紙に書いてある事項。右欄を解答する。添付書面は選択式のことが多いので解答は大体↑のような感じになる。
が、練習段階ではそんなに丁寧に作る必要はない。
登記の目的 | 所 移 |
登記原因及びその日付 | R6.7.7売 |
上記以外の申請事項 | 権 A 義 B |
添付書面 | アイエオ |
登録免許税 | 20万 |
↑こんな感じで解答。もちろん字も雑。今見返すと自分でも読めない字を書いている。別に誰に見せるわけでもない、自分だけの勉強なので、雑な解答でも何の問題もない。こんな感じで解答するように勉強すれば、1問30分くらいで解けていた感じはする。大事なのは丁寧な申請書を作ることより、何の登記を申請するかをしっかりと判断すること。そこに重点をおいて勉強した。
最終的にやったことのまとめ
1年目から合格までに私がこなしたものを列挙する。
- オートマテキスト→オートマ過去問の流れを1周
- 2023模試6回分を1周
- オートマ記述テキスト1周
- オートマ過去問2周目
- 2023模試6回分2周目(択一のみ)
- 1回目本試験(不合格)
- パーフェクト過去問1周
- オートマテキストをノートにまとめながら2周目
- 2024模試7回分を1周
- パーフェクト過去問記述式を1周
- パーフェクト過去問2周目
- 2024模試7回分2周目(択一のみ)
- 2回目本試験合格
*2~5,7~8,9~12は並列
ざっくりいうと、テキスト、過去問、模試ともに2周(記述式は1周)ということになる。(過去問はオートマ過去問2周、パーフェクト過去問2周しているので4周とも言えるが)
いずれにせよ、記述式問題も含め、過去問を中心に知識を集め、過去問と似たような問題は全て正解できるように勉強した。実際2回目の本試験直前は過去問の99%は頭に入っていたという自信がある。試験員が、受験生に対して何を勉強してほしいか?というと、そりゃ過去に出された試験だよね、って話だ。以上、私が実践した勉強法の紹介でした。
Tips
その他の、細かい話でも少し。
メンタルの保ち方
特に法律の初学者にとって、法律を学ぶのは苦労する場面も少なくない。意味不明な用語だったり、訳のわからん理屈だったり。中でも私が苦戦した(というかイラついていた)のが、「謎の判例」の存在である。例えば、民法に以下の条文がある。
(準正)
第七百八十九条 父が認知した子は、その父母の婚姻によって嫡出子の身分を取得する。
2 婚姻中父母が認知した子は、その認知の時から、嫡出子の身分を取得する。
条文というのは、そのまま法律に書かれている内容である。では、上の民法第789条を覚えた上で、次の問題に答えてみよう。(ちなみに準正というのは嫡出子の身分を取得すること)
父が母と婚姻した後に子を認知した場合も、父が子を認知した後に母と婚姻した場合も、婚姻の時から準正の効果が生ずる。
この問題を初めて見たとき、私は「あー、準正は認知→婚姻だと婚姻時で婚姻→認知だと認知時だったな。×だわ。」と判断。しかし解答は○。「はぁ!?」って思って解説を見ると、「条文では認知の時とされているが、婚姻準正の場合と同様、認知準正の効果は婚姻の時から生ずると解されている。(先例)」みたいなことが書かれている。いやなんやそれ、なんのための条文なん?って思うよね。
こういう「謎の先例、判例」はたまに出てくる。出てくる度にイラつくので、こういうのをまとめて「ゴミ先例」と名付けて覚えた。汚い言葉で申し訳ないが、試験では多くのことを覚えた奴が勝つのだ。覚えるためなら何だってする。このように、自分のイラつきも勉強に利用していた。
ほかに、1年目は試験を受けることは妻にしか言っていなかったが、2年目は「今年、司法書士試験に100%受かるから」と友人にも公言していた。落ちたら恥ずかしいし、勉強するしかない。というように、自分にプレッシャーをかけたわけだ。
あとは、司法書士試験に合格した人のブログとかSNSとかは、学習を始めた後は一切見ないようにしていた。最初の最初、司法書士試験について調べているとき、どうやって勉強していくかを考えていたときは参考にするため色々と読んだりしたが、いざ勉強を始めてからは、このブログも含め「合格体験談」とか「合格者の声」とかは、読まないほうがいい。だって単純にムカつくから。「こいつは合格してるのになんで俺はまだしてないねん」みたいな。そんな精神をすり減らすマネはしないほうがいい。
あと寝る前の2時間くらいは「余暇の時間」に当てていた。1日が仕事、子育て、勉強で終わる日々が毎日毎日続くと、精神的にキツイ。寝る前くらいばボケーっとする時間にして、しっかり睡眠をとるようにしていた。ちなみに徹夜で勉強とか、睡眠時間を削ってまで勉強はしないほうがいい。眠い頭で勉強しても、効率がめちゃくちゃ悪いと思う。
これらのように、精神的に折れないためにも、色々工夫をしていた。まぁこのあたりの話は人によって大幅に違うと思うので、参考までに。
2年目の試験当日の動き
自宅から40~50分くらいで試験会場には行けるのだが、前日に試験会場近くのホテルに宿泊した。当日は試験のこと以外に頭を使いたくなかった。電車の時間とか、乗り換えとか、些細なことにも気を取られたくなかった。
翌日ホテルから徒歩で試験会場まで移動。持って行ったのは筆記用具、ペットボトルの水2本、昼食のおにぎり3個。会場に着いたら、席に着いて試験開始までぼーっと過ごした。大半の人はテキストを読んでいたりノートを読んでいたりするのだが、私はしなかった。会場に着いてからのほんのわずかな時間で新たに何かを学習することなどできないし、テキストで読んだ部分が試験に出てくる確率は相当低いだろうし。すでに合格するだけの力は持っている(という自信がある)ので、試験までに頭を使わず、疲労の一切ない状態で試験に臨む、という戦略だ。
午前の部
午前の試験は2時間あるが、1時間で解き終わった。見直しをして、終了。体感で「悪くて27,8問、良ければ32問くらい」は正解できているだろう、という感覚。
午前が終われば昼食。ここで、これを読んでいる方々に重要なアドバイスがある。
試験会場にトップバリュのおにぎりを持っていくのは絶対にやめるべき
私は昼食として、マックスバリュで買ったおにぎりを3個もっていった。午前の試験が終わると、みんな昼食を取り出して食べ始める。もちろん私もそうした。おにぎりの封を開け、一口食べた。
次の瞬間、おにぎりの底辺にあたる部分の「海苔」がビリッと破れた。文章で分かるかな?食べたのは三角形の頂点なのに、底辺の海苔が破れた。するとどうなるか?おにぎりがボロボロ崩れてくる!
お皿とかがあるわけないし、ボロボロ崩れてくるおにぎりが机に落ちてしまう。しかしどうしようもない!おにぎりをボロボロと落としながら食べるしかない!
めちゃくちゃ恥ずかしかった(笑)周りの人に「あいつめっちゃ不器用やな」とか思われる!いやいや私はプロのジャグラーなので、それなりに器用なんです!私が悪いのではなく、トップバリュのおにぎりが悪いんです!海苔がすぐ破れるんです!と心の中で言い訳をしながら、なんとかおにぎりを2個食べた。が、ツナマヨも昆布も海苔がすぐ破れたので、最後の明太子もどうせ海苔が破れるだろう。と思い、3個目のおにぎりは諦めた。名古屋会場でおにぎりをこぼしながら食べている男を見た人、それきっと私です。(ちなみに明太子は家に帰ってから食べたけど、やっぱり海苔が破れてボロボロ崩れてきた。)
司法書士試験に限らず、昼食が必要な試験を受ける人へ。トップバリュのおにぎりを持っていくのはやめたほうがいい。
午後の部
本当に恥ずかしい思いをした。余計なことに頭を使わず過ごしたかったのに、おにぎりに苦戦するとは。
さて、気持ちを切り替えて午後の部だ。当日は本当に暑い日で、ペットボトルの水2本がなくなってしまった(机を拭くのにも使ったし)ので、新たに1本購入してきて、試験開始まで再びボーッとしていた。午後は択一を60分、不動産登記記述を60分、商業登記記述を60分で解くことが一応の目安とされている。ただ記述式は時間がいくらあっても足りないくらいなので、択一を速く解くに越したことはない。私は模試では択一を45~50分くらいで解いていたので、それくらいを目安に解いていこうと考えていた。
いざ試験が始まると、トントン拍子で解けていった。民事訴訟法で1問「なんやこれ聞いたことないわ」というものがあったが、深追いせずに軽く解答。解いているときに明らかに知らない知識が出てきたら、深追いしない方がいい。午後択一は本当にすらすら解けて、35分で解き終わった。
そのまま不動産登記記述、商業登記記述と進む。全て解き終えたとき、1時間半くらいは時間が余っていたかな。その時間で、記述の見直しと、飛ばした部分を考える。私は記述の問題を解くときは、「分からんなー」というものが出てきたら、その場で深く考えることをせずに、飛ばして先に進む。考え込んでしまうと、あっという間に時間が過ぎて、最後まで終わらなくなってしまったら合格は絶望的だ。なので飛ばしておいて、全て解き終わってから戻ってきて考えるようにしている。
不動産登記記述で1つ大きなミスをしているのを発見し、修正。他は大きなミスはなかったかな。マークシートの塗り違いがないかなどもチェックし、午後の部を終えた。
終わった瞬間「ほぼ間違いなく合格だ」が感想。そのくらい、午後の択一と記述はよくできた。午後択一は、「間違いなく30問は正解している。」記述も「8割くらいは点を取れているだろう」唯一怖いのは、私の午前の点数が27点くらいで、基準点がそれを上回る場合に不合格になってしまうこと。可能性は低いが、午前の基準点が28点以上になることも、稀にある。
午後の部を終えて会場を出ると、予備校の方が午前の部の解答を配っている。それを受け取って、帰りの電車の中で採点。スマホに自分の答えと、もらった解答を両方打ち込んで、照らし合わせて答え合わせをしたら、午前の部は30問正解していた。これで「合格は間違いない」と確信した。一方、「あ、商業登記記述の会計限定監査役の定めの登記の廃止って申請してないわ」と気がつくも、時すでに遅し。なんで試験中に思いつかんかなぁ。
司法書士試験は、当日の19:00くらいには、午後の択一の解答も出る。予備校によっては記述式の(仮)解答も出してくれるので、それらを見て答え合わせ。午後は32問正解、記述も大外しした部分はなさそうで、「合格したな」と確信して試験を終えることができた。
記述式の解答用紙は半分に折ってもいい
司法書士試験を受けて思ったのが、「記述の解答用紙が邪魔」である。A3サイズの解答用紙が2枚くる。商業登記法の記述を解いている間、不動産登記法の記述の解答用紙の置き場所に困る。
なので2年目に記述の解答用紙が配られる際に、試験監督の人に「記述式の解答用紙って半分に折っていいんですか?」と聞いた。「確認してきます」と上司(?)に聞きに行ってから戻ってきて「大丈夫です」とのこと。名古屋会場は机が広めだから折らなくてもなんとかなるけど、机が狭い会場では折らないとやりにくいんじゃないかなぁ。折ろうという人は、念の為、試験監督に確認してみてください。
口述試験
司法書士試験に合格するには筆記試験と口述試験を突破しなければならない。しかし、筆記試験の合格率が5%の超難関であるのに対し、口述試験は受けさえすれば、ほぼ100%合格する試験だ。なので筆記試験合格をもって、「司法書士試験に合格した」と言ってもあながち間違いとは言えない。この記事も筆記試験合格時に公開しようかとも思ったが、やはりしっかりと「合格」してからの方がいいと思い、口述試験についても記載する。
練習としては、伊藤塾が無料で口述試験対策の問題を配布しているのでそれを貰った。内容を全く読まずにプリントアウトしてお義父さんに試験官役をやってもらい、解答できるかどうか試したら、結構簡単な内容だったので、それ以外はほぼノー勉で臨んだ。
口述試験は午前組と午後組に分かれて集合時間が決まる。私は午後組だったので、13:00が集合時間だった。12:30くらいに会場に着くと、すでに口述試験受験者が列を作っていた。名古屋会場では、受付時に番号札を取り、それによって試験順番が決まる。いわゆるくじ引きだ。一番最初の人は13:30から開始、一番最後だと17:00近くが予定されていた。言うまでもないが、順番は早い方がいい。しかしこればかりは運なので、どうしようもない。
私はラッキーなことに、2番目の番号を引けた。というか夕方から仕事があったので、遅い番号に当たると大変だった。
聞かれた内容
- 口述試験受験番号、氏名、生年月日
- 審査請求先はどこか
- 無効な申請情報が看過されて登記がされた場合、審査請求できるか、またその理由は
- 共同申請の意義とは
- 定款で取締役の任期を延長している会社の取締役が任期満了退任する場合、その取締役の退任登記をする際の添付情報は
- 取締役会設置会社の取締役が退任する場合、会社法規定の人数を欠くこととなった場合、退任登記は可能か、またその理由は
- 取締役会設置会社において、5人の取締役がいて、そのうち4人が同時に任期満了退任する場合、退任登記は可能か、またその理由は
- 定款において代表取締役を2名置くとの規定のある会社の代表取締役が、代表取締役を任期満了退任する場合、退任登記は可能か、またその理由は
- 司法書士が扱えない事件は何か
- 司法書士の業務を3つ挙げよ
- 司法書士への懲戒処分権者は誰か
- 司法書士への懲戒処分の種類は何があるか
いずれも筆記試験突破者にとってはさほど難しくない内容だ。少し答えにつまっても、試験官が手助けしてくれることもあった。慣れない形式なので多少は緊張するだろうが、過度に心配する必要はない。
最後に
ここに書かれている内容が、司法書士試験合格を目指す人の役に立てば幸いです。ジャグリングに関すること以外でこんな長文を書くとは思わなかったし、今後「司法書士ジャグラー」として活動するかどうかも不明だけど、一つ自分の人生の中で誇れる出来事が増えたのは素直に嬉しいです。協力してくれた妻に感謝。